「フリーランスエンジニアになろうぜ!」
僕は最近のこういった風潮に危機感を感じています。危機感とは言いつつも、特に僕や僕の会社には悪影響があるわけではないので、完全に他人事ですが、ホントにそういう風潮はいかがなもんかねと思っている次第です。
僕はどう考えても特別なにかのスキルもない平凡な人たちには、物販のほうが向いてると思うんですけどね。無理してプログラミングなんて勉強しなくても、もっと簡単に独立できる仕事はあるというのに。
今回はまるで他人事ですが、僕が勝手に感じているこの危機感についてと、エンジニアとネット物販の比較について書いてみたいと思います。おそらく、フリーランスエンジニアとネット物販を比較してる記事はこれが世界初じゃないでしょうか。
システム開発会社とネット物販会社の両方を経営する僕がいうので、割りと的を獲てるはずです。
まず認識しておきたい問題点2つ
そもそも僕は何に危機感を感じているのか。そんなにフリーランスエンジニアが嫌いなのか。いや、それを唱っているインフルエンサーが嫌いなのか。
いやそうじゃなくて、世の中の大きな問題点のひとつは、影響力のある人間が善意で間違った方向に引張るときだと思ってるわけです。善意なので本人も悪気はないし、そもそもいいことだと思ってるわけですからタチが悪いわけです。ネットワークビジネスの勧誘によく似ています。
特にTwitter界隈なんかでこういったブームは起きやすいんですが、じゃあなぜやみくもにフリーランスエンジニアを提唱することは間違っているのかについて2つ上げたいと思います。
稼ぎ続けるための選択肢にはならない
まずこのフリーランスエンジニアになって、独立して稼いで経済的・肉体的自由を手に入れようぜフゥゥゥゥァァァァアア!!っていうノリですよね?たぶん?
経済的・肉体的自由を手に入れるためには、稼ぎ続ける必要があると思うんですけど、それってフリーランスエンジニアは最良の選択肢なんでしょうか?最良じゃないにしても、いい方なのか?僕は悪い方だと思ってます。その理由については、このあとのネット物販との比較で明らかになると思います。だから、独立したい層をターゲットとしてフリーランスエンジニアを提唱することに疑問を抱くわけです。
そんな簡単じゃなくない?と。

特にフリーランスは発注側からは評判が良くない
独立するためにどういったところから仕事を引っ張ってくるつもりなのかわかりませんが、まあ多いのがLancersとかCrowdWorksなんかで受注する方法じゃないのかね?
Upworkなんかじゃ受注できないだろうしなあ、日本人は。
僕も一応システム開発会社を経営してるので、クライアントさんからいろいろ話を聞いたりもしますし、うちがシステム開発チームを発足するまでは、うちも外注に開発依頼したりしてたので、よくわかるんですが、そもそもフリーランスエンジニアって適当な仕事する人多いんですよねw
これは物販界隈のシステムだけじゃないと思うんですけど、納品前に飛ぶ(連絡取れなくなる)のは当たり前だし、機能追加したいと思ったときには連絡取れないなんてのもザラです。そうなるとまた別のエンジニアに0から作ってもらう必要が出てきます。
なので、僕らの物販業界ではどちらかというと、多少開発費高くてもちゃんとした開発会社に依頼したほうが結果的に安いみたいな感覚の人のほうが多くなってきました。
そんな市場ばかりじゃないにしろ、僕はそういった市場を身をもって知ってるので「これからフリーランスエンジニア?大変だなあ。」と思います。特にB2Bは信用ビジネスですからね。
フリーランスエンジニアとフリーランスネット物販セラーの比較
フリーランスネット物販セラーってなんやねんって感じですけど、要するに個人で独立してネット物販を営む人ってことね。ここで生まれた言葉です。他で使っても伝わらないので使わないように。


今回比較したいのは6点です。
比較項目 | フリーランスエンジニア | フリーランスネット物販セラー |
ビジネススタイル | B2B | B2C |
商品 | オーダーメイド | マーケットイン |
商品単価 | 数十万〜数百万 | 数百円〜数万円 |
スキル | スキル必須 | スキル不要 |
集客 | 必要 | 不要 |
レバレッジ | 小 | 大 |
正直まだいろいろ比較したいところは山程あるけど、キリがないので代表的なビジネス要素6つで比較してみました。
これだけみても「だから?」って感じだと思うので掘り下げて説明していきます。
ビジネススタイル: B2Cのほうがスタートダッシュかけやすい
まずビジネススタイルについてですが、フリーランスエンジニアって基本的にB2Bスタイルだと思うんですよね。企業や営利目的で動いてる個人などから受注を受けて、売上をたてます。
これってようはプロ相手に商売するってことですよね。
ビジネスのビの字もしたことない人が、いきなりフリーランスになってB2Bの仕事取れるのかって話ですよね。そりゃクラウドソーシングサイトなんかで血眼になって探せば受注できるかもしんないですが、実績や経験がないとろくな受注は受けにくいはずです。反対に物販は基本的にB2Cになります。なので販売するお客さんは基本的にビジネスに関しては素人ですよね。なので、そこまで購買行動に関して100%理論的に動いてる人は少数です。
つまり僕が独立したときのような何も持たざるド素人が、なにか商売をスタートするためにはB2Cのほうがハードルは低いのです。どう考えても。
ちなみにネット物販ビジネスからでも、B2Bに取り組む事業者ももちろんいますけど、かなりハードルは高いです。
商品: 取扱商品を「選べる」ことは初心者には特に歓迎すべきポイント
次に販売する商品ですね。フリーランスエンジニアの場合はどうでしょうか。基本的にクライアントが「こんなのほしいンゴ」って言ったものを作るのが基本的な流れかと思います。いわゆるほとんどがオーダーメイド商品ということです。
ゲームのiPhoneアプリを作ってくれって依頼されたら、ゲームのiPhoneアプリを作るか、断るかの2択になるかと思います。もちろん入り口を絞ることである程度受注する案件は絞れるかと思いますが、最初はそんなこと言ってらんないですよね。
これが物販だと、正直なにを販売してもいいわけですよ。欲しい人がいるなら。昨日まではコケシを売ってたけど、けん玉がアツいから今日からけん玉売る!とかもできるわけです。
つまりマーケットインな販売ができるわけなんですよね。市場で求められてるものを販売する。需要があるなら、あとは利益が出ることをクリアすれば、それはすぐにビジネスになります。
商品単価: 平均単価が小さいほうが「安定」に近づきやすい
主にフリーランスエンジニアというと、システム開発案件を受注するわけだと思うんですけど、基本的に単価は大きくなりがちです。大きくといっても、ネット物販と相対的に比較するとですけどね。
でもだいたいイメージだと、30万〜300万ぐらいがボリュームゾーンじゃないでしょうか。これだと1案件の単価が大きいので、例えば月収100万円をキープしようと思ってもだいぶばらつきが生まれると思います。下手したら0の月も出てくるんじゃないでしょうか。普通に。
ネット物販の場合は、単価がもっと低くなります。もちろん商材にもよりますが、だいたいみんなが取り扱ってるものは1000円〜高くて10万円ぐらいがほとんどかと思います。
1注文の単価が小さいので、月利100万円をキープしようと思ってもそこまでばらつきが出なくなります。もちろんシーズン的なばらつきはありますが、ノンシーズンな商材だと、結構販売数量は安定的になってくるものです。
スキル: スキルがいらないほうが圧倒的に再現性は高い
まずフリーランスエンジニアになろう!と思ったら開発言語の勉強しないといけないですよね。だってエンジニアですから。今の時代なので、オンラインスクールなどもあるし、学べる環境は非常に整ってきてます。ですが大前提として「スキル習得」は必須ってことなんですよね。
ネット物販ビジネスでは専門スキルは不要です。マジで不要です。やりながら覚えるぐらいでちょうどいいです。僕だって輸出ビジネスを始めたとき、英語は中学までしか習ってないレベルでしたが、今となってはチャットやメールは問題なく対応できますし、対面でも普通に日常会話ぐらいは話せるようになりました。なのでスタートからスキルは不要です。ネット物販ビジネスに必要なスキルは、やりながら習得できます。スキルなしですぐ始めれるのでビジネスとして明らかに再現性は高いと思います。
集客: マーケティングがほぼ不要なビジネスはなかなか無い
フリーランスエンジニアの場合は、集客というか人脈作りなどが非常に重要になってくるんじゃないでしょうか。また、がっつり稼ぐためには営業活動も必要になるため、開発言語スキルは習得したものの、今度は営業スキルも必要ですって話になってきますね。そんな万能なひとなかなかいないと思いますけどw
でもそうでもしないと仕事がもらえないわけです。信用を積み重ねないと、仕事は向こうからやってきませんからね。
しかしネット物販だと、集客が不要です。本当に不要です。なぜならamazon神などの大手ECプラットフォームが集客してくれてますからね。そこで商品を販売すれば、いやでも多くの人の目に商品を露出することができます。
そうなると、必然と売れていくわけです。市場に求められている商品ならね。
レバレッジ: 少人数でどれだけ売上を拡大することができるかがキモ
最後になりましたが、これがおそらく一番将来性に大きく影響するポイントになります。フリーランスエンジニアはどんだけがんばっても1人だと1人月です。もちろんスキルによってここはばらつきは出てくると思います。ですが基本的に開発というのは手を動かす「作業」なので、100人月の仕事を一人で1ヶ月でやることは不可能ですね。
もちろん外注を使ったり、知り合いに仕事を振ったりするなら可能かもしれませんが、それはもはやフリーランスエンジニアではなくね?と思います。SESとかそっちの類になってきます。

これがネット物販だとレバレッジが案外かけやすいんですよね。
「え、現物のモノを動かすほうがレバレッジなんかかけにくいんじゃないの?なんで?」と思うかもしれませんが、いろんな方法があるわけです。例えばamazonFBA倉庫のような3PLを使えば売上を伸ばすことは容易です。また、プラットフォームの横展開でも売上は伸びます。いろんな選択肢があるわけです。
ここでは長くなるのでまた別記事書きますけど。
問題は投資したお金が回収できないリスク
以上、かんたんにフリーランスエンジニアとフリーランスネット物販セラーの比較をしてみました。
僕がなぜここまでの比較をしてまで、フリーランスエンジニアになろうとしてる人たちに警鐘を鳴らすのか。それは、投資したお金や時間が回収できないリスクがありますよっていうのが理由です。
ビジネスをやってれば、もちろんそんなことは多々あることです。在庫いっぱい買ったはいいけど販売できなくなったなんて、物販業界ではザラですしね。
でも時間かけてプログラミングの勉強して、いざ仕事もらおう!と思ったら結局もらえなくて、SESに登録して派遣社員みたいにまるで馬車馬のように働くハメになる。あれ、これって雇用されてたときとどう違うのよ?って。
そうなる前に、まずはお金や時間をかけるなら本当にそれで将来が見えるのか、自分が思い描いている生活が想像できるのか、今一度考えてみてほしいと思います。
ポジショントークインフルエンサーに踊らされるな
最後に。
フリーランスエンジニアになろうとか言ってるインフルエンサーみたいな人たちの言うことを、鵜呑みにしないことです。彼らは目的あって自分たちの都合で発信しています。今回紹介したようなフリーランスエンジニアのリスクなんて、普通に頭の片隅にもないはずです。
僕自信、ビジネスのド素人から企業して、いまシステム開発会社とネット物販会社を経営しているわけですが、僕のこれまでの8年間の経験からして、似たようなド素人にとって再現性が高いのは間違いなくネット物販だと断言できます。
両方を見てきた僕だから言えることもあると思います。
なので、目先にうまそうな情報によだれたらすんじゃなくて、もっと物事の本質を見抜く努力を怠らずに自分の道を決めましょう。
ということで。
もしネット物販をやりたくなったら連絡してくれよな。
